ウートゥアについて
ウートゥアの名前の由来
Uhtua/ウートゥアをインターネットで検索すると、ほぼすべてのサイトで「Uhtuaは日本語で『湖』の意味です」と記載されています。当サイトでもその解釈です。
ところが、とある2つのサイトだけが、「Uhtuaはフィンランドの地名です」と説明しています。ずっと『湖』の意味だと思っていたので、これには少しびっくりしました。と同時に興味が出てきたのて、少し調べてみることにしました。
Google mapで検索すると、フィンランドに「Uhtua」という地名がありました!
フィンランドの中部より少し南に位置しています。
もう少し拡大するとこんな感じです↓
小さくて見にくいですが、赤い丸がUhtuaです。
何かお気づきになりませんか?
そう、このあたりの地域は「湖」だらけなんです。高い山がなくて、平地に湖が点在しています。
Uhtua…、湖が多い…。
何かつながってきた気がします。
そこでどんな景色なのか、さらに調べてみました。Google mapには「ストリートビュー」という便利な機能があります。現地にいかなくても、その土地の風景を見ることができます。湖の景色を探してみました。
主要な道路沿いしか見ることができないので、なかなかいい場所がありません。特に森の木に阻まれて湖がはっきり見える場所がありません。
Uhtuaから少し離れた場所ですが、いくつか見つけることができました。それがこちらです↓
穏やかな湖です。平坦なので、湖のむこう岸に森の木々が黒っぽく一直線に見えます。この画像は曇っているので、晴れている場所を探してみました。
それがこちらです↓
いいお天気ですね。そしてきれいな青い湖です。遠くには森の木々が直線状に見えます。
ん?もうお気づきですね。
この湖と遠くの森の木々は、Uhtuaのモチーフではないでしょうか?
カップと湖の画像を並べてみました↓
きれいな青い湖があり、その遠くには黒っぽい森の木々が一直線に見えます。カップの黒い線はこの森の木々を表しているのではないでしょうか。そして、ピンクの線は遠く霞んでいるか、もしくは霧を表しているようにも思います。朝焼けや夕焼け時のもやかもしれません。
フィンランドは「森と湖の国」と呼ばれています。Uhtuaが「湖」の意味なのか、地名を表しているのかはわかりません。しかし、このUhtuaというシリーズはフィンランドの湖の原風景を表しているのは確かなように思います。
どうでしょう、Uhtuaのカップを見ていると、まるでフィンランドの湖の湖畔にいるような気分になりませんか。
Uhtua、とても素敵なシリーズです。
(上記はあくまで個人の推測によるものです。ひとつの読み物としてお楽しみいただければと思います。)
ウートゥアの個体差
ウートゥアは絵付師による手作業で絵付けされています。シンプルなデザインなので、均一で個体差は無いように思いますが、実はそれぞれが微妙に異なり、個性があります。
次の画像は2客のカップ&ソーサーを比較したものです。
いかがですか?線の太さや色味などが若干違いますね。特に左側の黒い線は右側と比べると太くはっきりしていて、違いがよくわかります。比較しないと気づかないレベルですが、それぞれに個性と特徴があります。画一的な工業製品とは異なる手仕事の温かみが感じられます。
アラビアは2003年に手彩色部門を閉鎖しました。コストの問題によるそうです。一旦やめてしまうと、再開するには絵付師の訓練などが必要なため、今後手描きの量産が行われる可能性は低いでしょう。そう考えると、現存している手描きのウートゥアは貴重なヴィンテージと言えます。
あなただけの、世界に1つだけの手描きのウートゥアを選んでみてはいかがですか。
ウートゥアの製造年代
Uhtuaの製造年代は1970-80年代です(1975-81年としているところが多いです)。ARABIAのバックスタンプは少しづつ変わっています。ここを手がかりにある程度の製造年代を知ることができます。
(画像はARABIA社の公式サイトより抜粋・加工)
上の画像はUhtuaが生産された頃のARABIAのバックスタンプです。1981年に切り替わっているので、Uhtuaの場合は左側の1975-81年のものが多いと推測されます。もし右側だったら後期のものと推測できます。
切り替え時期だったのか、カップ&ソーサーでバックスタンプの種類が異なるカップ&ソーサーの組み合わせもあるようです↓。
また、バックスタンプだけでなく「Uhtua」というシリーズ名がスタンプされている場合もあります。調べましたが、どのような場合にシリーズ名が入るのかはわかりませんでした。
お持ちのUhtuaやこれから購入予定のバックスタンプを調べてみるもの面白いかもしれません。
ウートゥアと似ているヴィンテージ食器
Seita Arctica
インケリ・レイヴォは1970年代の終わりに、その後大ベストセラーとなる「Arcticaシリーズ」をデザインしました。その中に「Seita Arctica」という派生モデルがあるのですが、こちらのたたずまいがウートゥアによく似ています。
「Seita」は「holy place of offering(供物をささげる聖なる地?)」という意味です。何か神聖な場所を表すのでしょう。そして「Arctica」は北極です。フィンランドの北方の聖なる地を表しているのでしょうか。ウートゥアは湖で青ですが、こちらは雪のような薄いグレーがベースになっています。
Aprikos
同じくインケリ・レイヴォがデザインした「Aprikos」(あんずの意)も似ています。「Aprikos」はあんず色がメインで、ウートゥアの青とは全く異なりますが、色の配置パターンが良く似ています。
アラビアのSモデル
ウートゥアはウラ・プロコッペがフォルムをデザインしたSモデルの1つです。他にルスカ、アネモネ、ロスマリン、メリ、コスモス、フローラ、コーラリなど30を超えるシリーズがあります。デコレーションは異なりますが、フォルムはウートゥアと共通です。
Sモデルの中でも、インケリ・レイヴォがデコレーションした「アスラク」は色味は異なりますが、ラインのみで構成されていて、ウートゥアと似ています。
また、同じくSモデルにインケリ・セッパラ(インケリ・レイヴォの旧姓)がデザインした「Taika」もウートゥアと似ています。「Taika」というと木の実のデザインが有名ですが、線のみのシンプルなものも存在します。ウートゥアよりもかなり濃い色使いですが、3色のライン構成がよく似ています。
そして、こちらもSモデルですが、「Suvanto」も似ています。色味が異なりますが、水辺や河口という意味があり、同じ水辺をイメージしているので似ています。
Porsgrundの「Saga」
Eystein Sandnes/アイスティン・サンドネスがデザインした、ポシュグルン社の「Saga」はウートゥアにそっくりです。画像がなくて恐縮ですが、ウートゥアの黒い線をなくしたらSagaになるのではというくらいにそっくりです。特にカップ&ソーサーは、もしかしたら間違える人もいるかもしれないくらいにそっくりです。